ちょっと前にアガサクリスティーのABC殺人事件を観たのですが,何回観ても傑作ですね。犯人はわかっているのにハラハラしますし,わかっているからこその視点というのもまた一興というわけです。
さて今回は,数学の公式に関するお話。これって数学の力がちょっと不足しているのではという先生に教わると公式を覚えろと指導されます。しかもどうでもいいものまで。
そのせいで数学力がそぎ落とされ,中学までは数学が好きだったのに高校になって数学が嫌いになる生徒が増えます。そして理系クラスに所属しているのに数Ⅲを最後まで学習できる生徒が激減(内容についていけない)し,ひいては日本の技術が劣ってきたのはこのせいではないのかとも思うようになりました。
またこの指導のせいで,数学って言うのは公式覚えるコンテストだと勘違いされる方々が多数いらっしゃるようで,数学って言うのは公式覚えて当てはまるだけでしょ?って言われちゃんですよね。全否定はしませんが,半分以上は否定します。
はっきり言って,高校数学の公式や定理は3割ぐらいしか覚えていなくても解けますし,その覚えるというのも暗記というよりも解きながら身につけるという感覚です。
人間の脳というのは不思議なもので覚えろ言われれば言われるほど覚えることができず,別に覚えんでもいいよと言われる方が覚えるみたいで,数学の公式というのはまさに後者です。
というのも,何も考えずにただ覚えるのは至難の業(数字やアルファベットの羅列ですし)で,公式の導出を完璧でなくても(もちろん完璧に越したことありませんが)だいたいのことが分かればなぜその式になるのかが理解できてくるので,その方が覚えが早いですし確実に覚えることができます。
そして公式を導出するメリットは数学力がつくのと同時に,いろんな問題の解法が見えてきます。というのも数学の問題というのはその公式とやらを使わせて解かせる問題がほとんどなので,公式を導出するのは有益な勉強方法となるのです。
今の日本の教育は生徒から『思考』と『試行』を奪う教育をしているようにしか見えません。おそらく教える側が『思考』や『試行』が欠けている可能性があるのかもしれませんがね。
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